美術館巡りの作法

(後輩学部生向けに、学内wikiにアップロードしたものです。初心者向き。
こんな記事http://blog.livedoor.jp/mcmaster/archives/51488723.html?utm_source=twitterfeed&utm_medium=twitterを見つけて思い出したのでblogにもはっつけておきます。)

・1「まずはまわってみる。」
一度は順路通りに。それぞれの作品を、いきなり穴があく程見つめる必要は無い。(疲れてしまいます。)まずは、全体の感覚をつかむ。中にはピンと来る作品もあれば、全く来ない展示もあるでしょう。
いきなりキャプションを読み始めるのも禁物です。自分の感性に引っかかる作品が良い作品なのです。

・2「もう一度始めに戻って気に入った作品を見る。」
展覧会では、「これぞ」という主役の作品があったりします。
東京国立博物館東博)のような、最近とっても込むような展覧会であっても、みんな律儀に始めからぞろぞろと見ているせいで、後半疲れてしまって「見るべき作品」をスルーしている人が結構いたりします。
ピンと来た作品や、気になった作品を見ましょう。

・3「友達と意見交換をする。」
友達と一緒に美術館に行っているならば、お互いが気づいたこと、気に入ったところ、感想など、意見を交換してみるのもよいです。
お互い気づかなかった点や、共感できたり、できなかったりする意見を通して、相手や自分の「感性」を発見でき、鑑賞が深まると思います。

美術館にある作品は「素晴らしい作品」とされています。
しかし、ただ見ただけで、誰もが虜になる絵であるとはいい難いものです。
なぜならば、歴史的な達成や、技術の進歩によって現代人である私たちはある意味相当「目が肥えています」。しかしその肥え方はもしかしたら「毎日ジャンクフードを食べている」かのような経験かもしれません。
「歴史的に重要である」ということは、必ずしも今の私たちに感動を与えてくれるとは限りません。そして「歴史的な重要性」は、過去の作品を浴びる様に見てようやく分かるようになってくるものです。

上野の西洋美術館に行くならば、図書館で西洋美術史の画家の図版を一通りチェックしてから行くと、もっと楽しめるかもしれません。
東博に行くならば、日本美術史や、東洋美術史です(メソポタミアの発掘品とかかっこいいですよ。)。
東京都現代美術館は、都市的で清潔で洒脱な雰囲気が味わえます。

「鑑賞の仕方」が分かってくると、美術館巡りのコストパフォーマンスがぐっと上がると思います。是非、キャンパスメンバーズや図書館、そして東京に住んでいるということを利用してください。